業務の隙間を埋める技術メモ。

「それ、作れるか?」より 「それ、作って大丈夫か?」を考えたい。 業務で“ちゃんと使える”かどうかを、 実際に手を動かして確かめたログを残しています。

熟練者が辞めた瞬間、品質は「見えない問題」になる 〜能力を測れない会社が、Power Platformで社内試験を作った話〜

とっかかり:品質問題は、ある日突然やってくる

品質問題は、
いつも静かに始まる

  • クレームが少し増える

  • 手戻りが多くなる

  • 「前はこんなミスなかったよね」が増える

そして、たいていその少し前に、
熟練者が一人、会社を去っている。


ある日、経営層から出た一言

社長

最近、品質が不安定じゃないか?
人は増えてるはずなんだけどな

上司

そうですね…
教育はやってるんですが

自分(IT部門 主任・心の声)

「やってる」と「できてる」は違うんだよな…


問題は「能力が下がった」ことではなかった

調べて分かったのは、これ。

  • 誰がどこまでできるのか分からない

  • できる前提で仕事を振っている

  • できないことが表に出るのは「事故」のあと

つまり、

能力を測る物差しが、会社に存在しない


e-learningは、すでに導入されていた

上司

Udemyも入れてるし
学習環境は整ってるんだけどね

現場に聞く。

現場社員

動画は…
時間あるときに、ですね

自分(心の声)

笛吹けど踊らず、の完成形


なぜe-learningが機能しないのか

理由は単純だった。

  • 見たかどうかしか分からない

  • 理解したか分からない

  • 業務に使えるか分からない

ゴールがない。


能力開発は喫緊。でも目標がない

  • 品質を上げたい

  • でも何をどこまで?

  • 誰に何を期待する?

誰も答えられない。

ここでようやく気づいた。

試験がないから、目標が作れない


「じゃあ試験を作ろう」がすべての始まり

外部研修?
資格制度?
LMS導入?

どれも

  • お金がかかる

  • 時間がかかる

  • 現場が疲れる

却下。


結論:社内試験を“内製”する

条件はこれ。

  • お金をかけない

  • 時間をかけない

  • ちゃんと客観評価できる

  • リモートでも不正しにくい

そこで選んだのが、
Power Platformだった。


何を作ったのか

作ったのは、
本格的な社内試験アプリ

特徴は👇

  • ⏱ 時間制限あり

  • 🎲 問題ランダム出題

  • 🏠 リモート受験OK

  • 📊 能力の可視化

  • 🤖 AIで弱点分析

  • 📩 結果を本人にフィードバック


全体構成(超シンプル)

SharePoint:問題・回答データ
Power Apps:試験画面
Power Automate:採点・通知
AI Builder:回答傾向分析

Office 365の中だけ。


試験ができた瞬間、空気が変わる

現場

あ、自分
会計分野弱いんですね

上司

どこが弱いか分かるのは助かるな

社長

教育って
こうやってやるもんなんだな


なぜ「試験」が効いたのか

  • 学ぶ理由ができた

  • ゴールが明確になった

  • 成果が数字で見えた

e-learningは、
“手段”に戻った。


具体的な作り方(ここから実装)

問題マスタ(SharePoint

内容
QuestionText 問題文
ChoiceA〜D 選択肢
CorrectAnswer 正解
Category 分野

Power Apps:ランダム出題

ClearCollect(
    colQuestions,
    Shuffle('問題マスタ')
);

時間制限

Set(varStartTime, Now());
Set(varLimit, 20);

回答保存

Patch(
    回答ログ,
    Defaults(回答ログ),
    {
        User: User().Email,
        Category: current.Category,
        Correct: varAnswer = current.CorrectAnswer
    }
)

AI Builderで「弱点」を言語化

AIに渡すのは、
カテゴリ別正答率だけ。

会計:40%
契約:85%
IT基礎:90%

👉
「会計分野の理解が不足しています」


結果は、メールで本人へ

  • 点数

  • 弱点

  • 次にやるべきこと

怒られない。評価される。


品質問題への効き方

  • 誰が何をできるか分かる

  • 仕事の割り振りが変わる

  • 教育が狙い撃ちになる

品質は、
仕組みで守れる。


まとめ

品質問題の正体は、
能力不足ではない。

能力が見えないこと

Power Platformは、
その「見えない」を
1日で形にできる道具だった。


このブログが伝えたいこと

  • 高い仕組みはいらない

  • 立派な制度もいらない

  • 必要なのは「測る勇気」