業務の隙間を埋める技術メモ。

「それ、作れるか?」より 「それ、作って大丈夫か?」を考えたい。 業務で“ちゃんと使える”かどうかを、 実際に手を動かして確かめたログを残しています。

【Power BI】標準原価計算で「開発・生産の進捗」をガッツリ見える化してみた!

今回は、製造業やシステム開発の現場で避けては通れない「標準原価計算」をPower BIに組み込み、進捗とコストの状況を一目で把握できるダッシュボードを作ってみたので、その作り方を詳しく解説します。

単に進捗率を出すだけでなく、「本来かかっているはずのコスト(標準)」と「実際(実際)」を比較することで、プロジェクトの「健康状態」を数値化するのが狙いです。


今回作るダッシュボードの完成イメージ

  • 進捗率: 標準工数に対して、現在どこまで終わっているか。

  • コスト差異: 予定よりコストがかかりすぎていないか。

  • 生産性: 1単位あたりの効率は維持できているか。


1. データの準備(データモデル)

まずは以下の2つのテーブルを用意します。これらを「プロジェクトID」などでリレーションシップを組みます。

  1. 標準マスタ(Standard Costing)

    • 項目(工程名)、標準工数(h)、標準単価(円/h)

  2. 実績テーブル(Actual Progress)

    • 日付、プロジェクトID、実際工数(h)、完了数


2. 核心となる「DAX式」の設定

ここが一番のキモです。メジャーを以下の手順で作成してください。

① 標準原価(Budgeted Cost)の算出

まずは、計画段階でいくらかかるはずだったのかを計算します。

コード スニペット
 
Standard_Cost = 
SUMX(
    '標準マスタ', 
    '標準マスタ'[標準工数] * '標準マスタ'[標準単価]
)

出来高(Earned Value)の算出

「進捗率 × 全体予算」で、現時点で積み上がっているべき価値を計算します。

コード スニペット
 
Earned_Value = 
[Standard_Cost] * [進捗率]

※進捗率は SUM('実績'[完了数]) / SUM('計画'[予定数]) などで算出。

③ 原価差異(Cost Variance)

実際にかかったコストと、出来高の差を出します。これがマイナスだと「予算オーバー」です。

コード スニペット
 
Cost_Variance = [Earned_Value] - SUM('実績'[実際コスト])

3. レポート構成のポイント

視認性を高めるビジュアル配置

  • ゲージチャート: 全体の「進捗率」を表示。目標ラインを「標準工数」に設定します。

  • 集合棒グラフ: X軸に工程、Y軸に「標準原価」と「実際原価」を並べます。

    • ポイント: 実際原価が標準を超えている工程は、条件付き書式で「赤色」に自動変化するように設定します。

  • マトリックス(表): * 行に「プロジェクト名」

    • 値に「標準」「実績」「差異」を配置。

    • アイコンセットを使用して、差異がマイナスの項目に「⚠️」を表示させると、管理者の視線が一瞬でそこに集中します。


4. まとめ:なぜ「標準原価」をBIでやるのか?

Excelの表だと「今月は赤字だった」という結果しか分かりませんが、Power BIで視覚化すると、「どの工程の、どの作業員で、いつから乖離が始まったのか」までドリルダウンで掘り下げられます。

「開発が遅れている」という感覚的な不安を、「標準に対して〇〇時間の乖離」という客観的なデータに変えることで、会議の質が劇的に変わりますよ!