要件定義という工程は、いつもこう始まります。
つまり、
全員ふわっとした状態でスタートするのが要件定義
です。
ここでAIに「要件定義書を書かせる」とか
「業務フローを自動生成させる」みたいな使い方をすると、だいたい失敗します。
今回取り上げるのは逆です。
👉 決めるために使うAI
👉 考えを浮かび上がらせるためのAI
意外だけど、現場で効いた使い方を中心に紹介します。
① 「その発言、要するに何?」を即翻訳させる
よくある要件定義の会話
顧客
うちの業務、ちょっと属人化しててですね…
(心の声)
ちょっとってどれくらいだ…?
ここでAIを使います。
使い方(その場 or 議事メモ後)
顧客の発言をそのままAIに投げます。
この発言から考えられる業務上の課題を列挙してください
AIが出してくるもの(例)
-
特定担当者にしか分からない判断基準がある
-
引き継ぎに時間がかかる
-
ミスが起きても原因が特定できない
👉 これ、顧客が頭の中では思ってることです
そのまま聞き返せます。
いまのお話って、
①判断基準が共有されていない
②引き継ぎが大変
この辺りで合ってますか?
顧客はこう言います。
あ、それです、それ
要件定義が一段階、前に進みます。
② 「決めてないことリスト」を作らせる
要件定義が詰まる最大の理由はこれです。
何が決まっていて、何が決まっていないかが分からない
使い方
ヒアリングメモをそのままAIに渡して、こう聞きます。
この内容から、まだ決まっていない論点を洗い出してください
AIが出してくるのは、例えばこんなリスト
-
誰が最終判断者なのか
-
対象範囲は全社か一部か
-
現行業務を変えてよいのか/そのままか
-
期限の優先度
👉 要件を決める前に、決めるべきことが可視化される
これは地味ですが、めちゃくちゃ効きます。
次回打ち合わせのアジェンダが、ほぼ自動で決まります。
③ 「作らなかった場合の未来」を書かせる
これは意外と使われていませんが、強力です。
なぜ効くか
顧客は「作りたい理由」をうまく説明できなくても、
「作らなかったら困ること」なら語れることが多いからです。
使い方
この課題を解決しなかった場合に起こりうる問題を、1年後の視点で書いてください
効果
-
投資判断が一気に現実的になる
-
優先度が自然に決まる
-
「やらなくてもいいかも」が消える
要件定義というより、合意形成ツールとして効きます。
④ 「要件」を書かせない。質問を書かせる
AIに要件定義書を書かせると、だいたい薄くなります。
でも、これは使えます。
使い方
このシステムを設計するために、追加で聞くべき質問を列挙してください
ポイント
-
自分が聞き漏らしている視点に気づける
-
経験差を一気に埋められる
-
若手のヒアリング補助として優秀
👉 AIは答えるより、問いを出させる方が向いている
要件定義フェーズでは特にそうです。
⑤ 「顧客の言葉」を要件用語に変換する
顧客の言葉と、要件定義書の言葉は違います。
例:
-
「楽にしたい」
-
「ミスを減らしたい」
-
「いい感じにしたい」
これをAIに翻訳させます。
この表現を、要件定義書で使える表現に書き換えてください
👉
顧客の言葉を壊さず、資料用に変換できる
要件定義書が「翻訳作業」で疲弊するのを防げます。
要件定義でAIを使うときの注意点
大事なので書きます。
-
AIに「決めさせない」
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AIに「正解を出させない」
-
AIはあくまで思考補助
要件定義の責任は、人にしか持てません。
AIは、
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見落としを減らす
-
言語化を早める
-
合意形成を助ける
この役割に徹させると、ちょうどいいです。
まとめ:要件定義でAIが一番役立つ瞬間
AIが一番効くのは、ここです。
何も決まっていないけど、
何かを決めなきゃいけない瞬間
要件定義は、
「答えを書く工程」ではなく
「問いを揃える工程」です。
その問いを揃える作業に、AIはかなり使えます。
うまく使えば、
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打ち合わせが噛み合う
-
決定が早くなる
-
「言った言わない」が減る
要件定義が、少しだけ楽になります。