業務の隙間を埋める技術メモ。

「それ、作れるか?」より 「それ、作って大丈夫か?」を考えたい。 業務で“ちゃんと使える”かどうかを、 実際に手を動かして確かめたログを残しています。

ITの要件定義で使えるAI活用ネタとは? ― 何も決まっていない“最初の30分”を救う使い方 ―

 

要件定義という工程は、いつもこう始まります。

  • 何を作りたいのか、まだ言語化されていない

  • 顧客も「困ってる気はする」くらいの温度感

  • こちらも正解が見えないままヒアリングに入る

つまり、

全員ふわっとした状態でスタートするのが要件定義

です。

ここでAIに「要件定義書を書かせる」とか
「業務フローを自動生成させる」みたいな使い方をすると、だいたい失敗します。

今回取り上げるのは逆です。

👉 決めるために使うAI
👉 考えを浮かび上がらせるためのAI

意外だけど、現場で効いた使い方を中心に紹介します。


① 「その発言、要するに何?」を即翻訳させる

よくある要件定義の会話

顧客

うちの業務、ちょっと属人化しててですね…

(心の声)
ちょっとってどれくらいだ…?

ここでAIを使います。

使い方(その場 or 議事メモ後)

顧客の発言をそのままAIに投げます。

この発言から考えられる業務上の課題を列挙してください

AIが出してくるもの(例)

  • 特定担当者にしか分からない判断基準がある

  • 引き継ぎに時間がかかる

  • ミスが起きても原因が特定できない

👉 これ、顧客が頭の中では思ってることです

そのまま聞き返せます。

いまのお話って、
①判断基準が共有されていない
②引き継ぎが大変
この辺りで合ってますか?

顧客はこう言います。

あ、それです、それ

要件定義が一段階、前に進みます。


② 「決めてないことリスト」を作らせる

要件定義が詰まる最大の理由はこれです。

何が決まっていて、何が決まっていないかが分からない

使い方

ヒアリングメモをそのままAIに渡して、こう聞きます。

この内容から、まだ決まっていない論点を洗い出してください

AIが出してくるのは、例えばこんなリスト

  • 誰が最終判断者なのか

  • 対象範囲は全社か一部か

  • 現行業務を変えてよいのか/そのままか

  • 期限の優先度

👉 要件を決める前に、決めるべきことが可視化される

これは地味ですが、めちゃくちゃ効きます。

次回打ち合わせのアジェンダが、ほぼ自動で決まります。


③ 「作らなかった場合の未来」を書かせる

これは意外と使われていませんが、強力です。

なぜ効くか

顧客は「作りたい理由」をうまく説明できなくても、
「作らなかったら困ること」なら語れることが多いからです。

使い方

この課題を解決しなかった場合に起こりうる問題を、1年後の視点で書いてください

効果

  • 投資判断が一気に現実的になる

  • 優先度が自然に決まる

  • 「やらなくてもいいかも」が消える

要件定義というより、合意形成ツールとして効きます。


④ 「要件」を書かせない。質問を書かせる

AIに要件定義書を書かせると、だいたい薄くなります。

でも、これは使えます。

使い方

このシステムを設計するために、追加で聞くべき質問を列挙してください

ポイント

  • 自分が聞き漏らしている視点に気づける

  • 経験差を一気に埋められる

  • 若手のヒアリング補助として優秀

👉 AIは答えるより、問いを出させる方が向いている

要件定義フェーズでは特にそうです。


⑤ 「顧客の言葉」を要件用語に変換する

顧客の言葉と、要件定義書の言葉は違います。

例:

  • 「楽にしたい」

  • 「ミスを減らしたい」

  • 「いい感じにしたい」

これをAIに翻訳させます。

この表現を、要件定義書で使える表現に書き換えてください

👉
顧客の言葉を壊さず、資料用に変換できる

要件定義書が「翻訳作業」で疲弊するのを防げます。


要件定義でAIを使うときの注意点

大事なので書きます。

  • AIに「決めさせない」

  • AIに「正解を出させない」

  • AIはあくまで思考補助

要件定義の責任は、人にしか持てません。

AIは、

  • 見落としを減らす

  • 言語化を早める

  • 合意形成を助ける

この役割に徹させると、ちょうどいいです。


まとめ:要件定義でAIが一番役立つ瞬間

AIが一番効くのは、ここです。

何も決まっていないけど、
何かを決めなきゃいけない瞬間

要件定義は、
「答えを書く工程」ではなく
「問いを揃える工程」です。

その問いを揃える作業に、AIはかなり使えます。

うまく使えば、

  • 打ち合わせが噛み合う

  • 決定が早くなる

  • 「言った言わない」が減る

要件定義が、少しだけ楽になります。