業務の隙間を埋める技術メモ。

「それ、作れるか?」より 「それ、作って大丈夫か?」を考えたい。 業務で“ちゃんと使える”かどうかを、 実際に手を動かして確かめたログを残しています。

NetSuite × Power BIでプロジェクト原価を“見える化”してみた話 〜リアルタイム性はそのままに、ビジュアルと使い勝手を補強する〜

「プロジェクトごとの原価、今いくらかかっているのかをパッと見たい」

この要望、現場から何度も出ていました。
NetSuiteにはデータは揃っているし、リアルタイム性もある。ただ、

  • 工数・外注費・経費がバラバラに見える

  • 一覧性が弱く、直感的に把握しづらい

👉 「あるけど見えない」状態でした

そこで、Power BIと組み合わせて“見える化”してみました。
結果として、かなり現場に刺さる形になったので、やってみたベースで全部まとめます。


■ やりたかったこと(ニーズ)

今回やりたかったのはシンプルです。

  • プロジェクト原価を“今”把握したい

  • 内製原価(工数)・外注費・経費をまとめて見たい

  • 合計だけでなく内訳も同時に見たい


■ 前提:NetSuiteの強みと弱み

まず前提として、

▶ 強み

  • トランザクションベースでリアルタイム性はある

  • データは一元管理されている

▶ 弱み

  • 横断的な見方がしづらい

  • ビジュアルが弱い

👉 なので今回は

「データはNetSuite、見せ方はPower BI」

という役割分担にしました。


■ どうやってつないだか(技術的な話)

結論から言うと👇

👉 SuiteAnalytics Connect(ODBC)で接続


▶ 全体構成

NetSuite(トランザクション)
   ↓
SuiteAnalytics Connect(ODBC)
   ↓
Power BI(データ取得)
   ↓
データモデル化・可視化

▶ 実際の接続手順(ざっくり)

① NetSuite側

  • SuiteAnalytics Connectを有効化

  • ロールに権限付与

  • 接続情報(アカウントIDなど)取得


② Power BI側

  1. 「データ取得」→「ODBC」

  2. NetSuite用ドライバを選択

  3. 認証情報を入力

  4. テーブル一覧が表示される

👉 この時点で「普通のDBっぽく見える」のでかなり楽です


▶ 操作感(正直レビュー)

  • Transaction / TimeEntry など普通に見える

  • SQLでクエリも書ける

  • JOINもPower BI側で自由にできる

👉 ほぼRDB扱いできる感覚


▶ シームレス度合い

実際に触った感覚だと👇

  • 接続:かなりスムーズ

  • 初回読み込み:やや重い

  • 更新:普通に安定

👉 「ちょっと重いけど実務では十分使える」レベル


■ データ設計(ここが一番大事)

今回扱ったデータは3つです。

▶ 内製原価(工数)

  • Time Entry

  • 作業時間 × 原価レート


▶ 外注費

  • Vendor Bill


▶ 経費

  • Expense Report


▶ 共通キー

👉 プロジェクトID(Job)

これで全部つなぎます。


■ Power BI側の処理

▶ データ統合

  • 各テーブルを取り込み

  • プロジェクトIDで結合


▶ 合計原価

Total Cost =
SUM(内製原価) +
SUM(外注費) +
SUM(経費)

■ ビジュアル設計

ここが一番効いたポイントです。

作ったもの

  • プロジェクト別原価(棒グラフ)

  • 内訳(円グラフ)

  • 時系列推移(折れ線)

  • KPIカード(合計原価)

👉 「1画面で全部わかる」構成


■ リアルタイム性について

NetSuite自体はリアルタイムに近いデータを持っているので、

👉 ボトルネックはBI側の更新

今回は

  • 1時間ごとに更新

に設定しました。

👉 実務的にはこれで十分“ほぼリアルタイム”


■ 実現してどうなったか

変化はかなり分かりやすかったです。


▶ 原価の把握が“秒”になった

以前:

  • レポート開く

  • 条件変える

  • Excelでまとめる

今:
👉 ダッシュボード開くだけ


▶ 赤字案件がすぐ分かる

  • 原価が跳ねてる案件が一目で分かる

  • 内訳もその場で確認できる


▶ 会話が変わった

以前:
「たぶん外注が多いと思います」

今:
「外注比率60%なのでここですね」

👉 感覚 → 数値に変化


■ 現場の反応

実際の反応が一番分かりやすいです。


▶ 「これ、毎日見ます」

  • マネージャーが日次で確認するように

👉 月次管理 → 日次管理へ


▶ 「Excelいらなくなった」

  • 手作業の集計が消滅

  • 属人化も減少


▶ 「どこ見ればいいか分かる」

👉 これが一番大きい

NetSuite:

  • 情報はあるが散らばっている

Power BI:
👉 「ここ見ればOK」が明確


■ やってみて分かったこと

▶ NetSuiteは“データ基盤として優秀”

リアルタイム性は十分

👉 問題は「見せ方」


▶ Power BIは“翻訳レイヤー”

👉 データを“使える形にする役割”


▶ 最初から作り込みすぎない

今回は

  1. 合算

  2. 内訳

  3. 分析

と段階的に構築


■ まとめ

NetSuiteとPower BIを組み合わせることで、

  • リアルタイムに近い原価把握

  • 内訳を含めた可視化

  • 意思決定のスピード向上

が実現できました。

特に、

👉 「データはあるが活用できていない」

という状態にはかなりフィットします。


■ 今後やるなら

  • 予算 vs 実績

  • 粗利の可視化

  • 部門別・担当者別分析

このあたりまで広げると、さらに実務に効いてきそうです。


小さく作って、現場に当てて、改善する。
この進め方が一番うまくハマると感じた取り組みでした。