業務の隙間を埋める技術メモ。

「それ、作れるか?」より 「それ、作って大丈夫か?」を考えたい。 業務で“ちゃんと使える”かどうかを、 実際に手を動かして確かめたログを残しています。

NetSuiteのSuiteScript開発にClaude Codeを使ったら、デグレ地獄が終わった話

SuiteScript(NetSuite)開発者が、ChatGPT・Geminiとの比較を交えながら、Claudeの実力と課金の決断をリアルに語ります。


はじめに:「直したら別が壊れる」地獄、経験ありませんか?

対話型AIでプログラムを作らせると、なぜか「直した箇所以外が壊れる」——そんな理不尽な体験をしたことはありませんか?

私はその地獄を1年近く経験したあと、Claudeに出会い、それが一晩で終わりました。この記事は、その「前と後」のリアルな記録です。


AI開発が「地獄」になる理由

私はNetSuiteのSuiteScript開発を仕事にしていて、ここ1年ほどChatGPTやGeminiを使ってコードを生成してきました。

一発でお望みのものが出てくれば最高です。でも現実はそうはいかない。修正依頼を出す場面が必ず来ます。そしてここに罠があります。

「直してほしい箇所だけを指示すると、それ以外の箇所がデグレ(退行)する。」

これが対話型AIでコードを生成させるときの最大の鬼門です。直ってほしいところと壊れてほしくないところを、同時に制御し続けなければならない。これが精神的にじわじわと消耗させてきます。

それでも生産性は圧倒的です。人間が一週間かけて書くスクリプトが、AIなら数時間で仕上がる。でも、その数時間を心穏やかにこなせるかというと、まったく別の話です。

さらに厄介なのは、AIの態度です。バグだらけのコードを生成しておいて、それを指摘すると——

「あなたのコードには確かにそのバグがあります。こう直すべきです」

と、平然とこちらに責任転嫁してきます。言葉の通じない新人に手取り足取り教えているような感覚が、延々と続きます。これはメンタルをやられると言っても過言ではありません。


進捗が「いきなり90%→20%」になる問題

通常の開発なら、進捗はパーセンテージで把握できます。全体の半分できたなら50%、細かい調整中なら80%、という具合に。

ところがAI開発では、これが通用しません。

【AI開発あるある】

  1. 「90%できた!」という瞬間が来る
  2. 別の箇所を修正したら全部壊れる
  3. 実質20%に逆戻り
  4. 100%になる1秒前まで、1%も進んでいる気がしない

この「進捗の不透明感」が、AI開発のやきもきの正体です。完成が近いのか遠いのかが分からないまま、延々と対話を続けることになります。


私が講じた対策:地味だけど確実な方法

試行錯誤の末にたどり着いた対策は、非常に地味なものでした。

プロンプトとAIの生成結果を、時系列テキストとして手動で保存しておく。

デグレが起きても、その前のバージョンにいつでも戻せるようにするためです。面倒ですが、これ以外に安全な方法が見つかりませんでした。「その保存作業自体をAIに自動化させよう」と試みたこともありましたが、そのたびに痛い目にあってきたので諦めました。

そういう消耗から、そろそろおさらばしたい——そう思い始めたころに出会ったのが、Claudeです。


Claudeとの出会い:デグレがゼロだった

ネットの評判を見て、まず無料で試してみました。「お、これはいけるかも?」という手応えが最初からあり、すぐProプランを契約。

NetSuiteのSuiteScriptで業務アプリを生成させてみると——

デグレが、まったくない。

「直してほしい箇所だけが直り、それ以外は手つかずのまま」という当たり前のことが、当たり前にできる。正直、「マジかよ」と声が出ました。

こんなAIが存在していたことを、なぜ今まで知らなかったのか。この激変の時代、情報収集がいかに大事かを痛感した瞬間でもありました。

ChatGPT・Geminiとの比較

観点 ChatGPT / Gemini Claude(Pro以上)
修正後のデグレ 頻繁に発生する ほぼ発生しない
コードの一貫性 セッションをまたぐと揺れやすい 設計意図を保持しやすい
バグの責任転嫁 よく起こる 少ない(素直に修正する)
心理的消耗度 高い 低い
コンテキスト保持 モデルによる 長大なコードでも安定

もちろんClaudeも完璧ではありません。ただ、「修正したら別が壊れる」という最大のストレス源がほぼなくなっただけで、開発体験は劇的に改善しました。


Proプランの壁とMaxプランへの決断

Claudeは素晴らしいのですが、Proプランには大きな制約がありました。生成できる量が非常に限られているのです。

私が開発しているのは、フォーム・バッチ・カスタムレコード(テーブル)を束ねた統合業務アプリです。利用者別に30以上のフォームがあり、一つを変更すると他に連鎖する設計になっています。インプット情報がどうしても多くなります。

Proプランでフォーム1本を生成させると、それだけで5時間枠の利用制限をほぼ使い切ることもありました。残り30本以上、どうするんだ……という話です。

プランの比較

プラン 月額(USD) 目安(円) Proとの比較
Pro $20 約3,000円 基準
Max(小) $110 約16,000円 約5倍
Max(大)← 今回 $220 約32,000円 約20倍

32,000円は決して安くありません。ただ、こう考えました。

人間が手作業で書けば一週間かかるスクリプトが、1日で完成する。そのスピードと品質を維持できるなら、月3万円台は開発投資として十分ペイする——そう判断して、$220プランを契約しました。

頼む、支払い時にこれ以上円安が進まないでくれ……という祈りとともに。


実際に使ってみた結果

Maxプランを使い始めて最初に感じたのは「使用量ゲージが全然減らない」ということです。

今日だけで業務アプリを5本生成しましたが、5時間枠でも数パーセントの消費にとどまりました。Proプランとは別世界です。

体感としての変化まとめ:

  • デグレの発生率 → 激減
  • 開発速度(体感)→ 従来比 約3〜5倍
  • 心理的消耗度 → 大幅に軽減
  • コンテキスト量の余裕 → Proの20倍

Maxプランではスライドやドキュメントの自動生成なども使えるらしく、まだ試しきれていない機能が山ほどあります。高い金を払った分、この一か月はたっぷり使い倒すつもりです。


まとめ:AI開発で疲弊している人へ

もしあなたが「修正したら別が壊れる」「進捗が見えない」「AIの責任転嫁に疲れた」と感じているなら、一度Claudeを試してみてください。

  • ✅ デグレがほぼ起きない=修正の心理コストが劇的に下がる
  • ✅ 長大なコードでも設計意図を保持してくれる
  • ✅ Proプランで感触をつかんでからMaxへの移行を検討するのがおすすめ
  • ✅ Maxプランは高いが、開発投資として費用対効果は十分にある
  • ✅ 何より「AIと戦わなくていい」精神的な楽さが、継続の鍵

いろいろなことができるAIですが、「何をしたいか」という意思がなければAIは何もしてくれません。使える機能の情報収集を続けることと、まずやってみることが大事だと、あらためて実感しています。

同じようにSuiteScript開発やAI活用で試行錯誤している方の参考になれば嬉しいです!